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積水成淵。

低きに流れることなかれ。



観よう観ようと思いながら観れなかった映画を観れたのでご紹介。

中山七里さん原作の「護られなかった者たちへ」



筆者は知らない作家さんなのですが、推理作家さんだそうです。
確かにトレーラーを観ると、複雑な謎が絡み合ったミステリーなのかな?と感じますが
いや、「まさか」と思わされた事も事実ではあるのですが、この作品の芯はそこじゃない。

これまで、そしてこれからと、筆者たち自身が向き合わなくてはならない
きちんと取り組んでいかなければならない問題が描かれていました。

特にネタバレにはならないと思いますが
よければ先にご覧になってからお戻りくださると幸いです。

まずは災害です。
本作品は東日本大震災後の物語になります。

日本だけに限った話ではありませんが、この10年ほどでも様々な災害がありました。
自然から逃れる術はなく、犠牲となった方々がたくさんいらっしゃいます。
誰かに責任のある事ではないものですが、そのやりようのない気持ちが爆発し
悲しい出来事が起きてしまった事も多かったと思います。

そしてそうした復興や生活の援助となる国の支援。

「護られなかった者たちへ」では生活保護が大きなテーマになっています。
「守る」ではなく「護る」としたのはこうしたところからなのか
それとも「しっかりと」という意味からなのかわかりませんが
「保護される者が保護されない」という問題について描かれています。

本作品中でも出てくる台詞ですが、「災害は怪物」です。

諦める訳ではありませんが、人間が勝てる相手ではありません。
また手心を加えてくれる訳でもありません。

何もかもを一瞬にして変えてしまう恐ろしいものです。

ですが人間は、そんなどうしようもないものではありません。
きちんと正しいと思う事が出来る生き物です。

だが、それを「やらない」人間がいる。

もしかすると本作を観て、行政側を憎む人がいるかもしれません。
しれませんが、それは「罪を憎んで人を憎まず」です。
怪物は憎んでも、正しくあろうとした人を憎んではいけません。

問題はあったかもしれない。
だから許されるという事でもない。

ただ、正しくあろうとしていた事実から目を背けてはいけない。

そこを憎んでしまってはいけないんです。

本当に、本当に憎むべきは、そうした現実を「理解して」生み出し
「理解して」それを啜って生きている人間たちです。

現在の日本であれば生活保護の不正受給もそうです。

日本では、「何故か」大きい声を出したもの勝ちなので
ほぼ常に強者の云うとおりになり弱者は割を食ってばかりです。

筆者の云う事はいつも単なる理郎論ばかりになってしまいますが
みんなで立ち上がって、みんなで声を上げないと
大きな相手はいつまでもこちらの足元を見てきます。

これも本作品の中の一言ではありますが
「不埒な者よりも大きな声を」です。

日本は本当に云ったもん勝ち、やったもん勝ちです。
そこに何の正統性も理由もない。

本来この国はもっと正しくあれる国のはずです。

昨今もう嫌になるぐらい色々な事が起きていますが
もう今でも片足は「終わり」に突っ込んでいるので
この片足を引っこ抜いて後ろに下がらないと、この先は秩序が無くなる可能性もある。

戦争でも、災害でも、たくさんの人たちが
未来の為に自分たちの命や人生を懸けてきてくれた。

それは別に自分の親戚でも知り合いでもない人たちだけど
その想いに応えて、応えようとして筆者たちも生きるべきじゃないでしょうか。

何も大それた事は考えなくてもいい。

自分にやれる事をみんなが積み上げていけば、それがきっとかたちになります。

「護られなかった者たちへ」、よかったら観てみてください。

筆者では表現のできない事を表現してくれていますから。

by ryu-cat | 2023-01-31 17:57 | 日常雑記 | Comments(0)


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