必要屑。

何世代か分の「膿」だ。



筆者のご先祖様は立派な武士だった。
個人では出てこないが、ある歴史上の出来事をWikipediaで調べると名前が載っている。
郡奉行だった為、現在でも寺社の管理をしていると聞く。
どういう性格だったとかは知る由もないけれど
その出来事に関する記録を読む限り、人の為に動ける人物だったと想像出来る。
またうちの家系は非常に美男子揃いだった。
父親もそうだったけれど、まるで俳優さんのよう。
おばあちゃんの一人は昔テレビに出ていた女優さんだったらしいし
家柄は中々のものだったようだ。
血を途絶えさせない為におばあちゃんは半ば無理矢理結婚をし
待望の男孫である筆者が生まれ、大事に育てられていた。

いた、が。

跡継ぎのような形で生まれた筆者に対し
おじいちゃんは「生まれてこなければ良かった」と云い
おばあちゃんは「どうしてあんたはそうなったのか」と云う。
歪みに歪んだ性格のせいで一族の者らしくない顔に成り
当然性質も腐ったものに成ってしまった。
愛情は注いでもらっただろうから、これは恐らく筆者の問題で
その問題の原因として筆者は
「遺伝子の吹き溜まりのようなもの」ではないかと考えた。
筆者は一族の悪い部分の集大成ではないだろうか、と。
人間は、こうして悪いものを生み出す事によって
必要悪ならぬ必要屑をもってブラッシュアップするシステムが在るのではないか。
筆者は常々、性善説も性悪説もなく、性空説または性中説を考えていたけれど
良くも悪くも見本は必要なもので、意図的にこう在るのだと思わずにいられない。
「あえて」バグを作り出す事でストッパーを設けているのだ。

そう思ってはいけないだろうか。

そうでも思わないと、この世界と自分の「ズレ」に説明がつけられない。
自分を説得してやれない。

何もかもが声を揃えて筆者に云う。
「ここはお前のいる所じゃない」と。
全てが筆者を拒絶するし、筆者もまた拒絶する。
まったく違う世界だ。
まるで宇宙人にでもなった気分。
何一つ理解が出来ない。
たった一つ、一つだけなんとか解る事は
これだけ広い世界、美しく素晴らしい世界に自分は一人だけだという事。
自分を恨み呪い続けて筆者は狂暴と凶悪の塊に成った。
もう何にも触る事は出来ない。
これから一生、誰も筆者の名前を呼ぶ事もないだろう。

……「決めてしまった」運命で、どう生きれば良い。

足首から、じわりじわりと埋もれていく。
まるで流砂のように、もがくほど足掻くほどに体も沈む。
助けてくれ!
そう叫んでみても、そこは砂漠の真っ只中。
筆者の隣人はいつも静かな絶望だったように思う。
何も云わず、ただただそこにしっかりと存在している。
筆者が人を見下すように筆者を見下し
筆者が何も与えないように、「それ」も筆者に何も与えない。
薄気味悪く笑うだけの「ばけもの」だ。

ああ、反吐が出る。

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by ryu-cat | 2017-08-13 00:50 | 日常雑記 | Comments(0)


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