near miss。

だから僕は──。



以前、「シュレーディンガーの猫」という思考実験について書きました。
あれは量子論でしたが、今日は倫理学の思考実験について書きたいと思います。

「トロッコ問題」、あるいは「トロリー問題」と呼ばれるものです。

あなたはトロッコを運転しています。

順調に線路を走行していたところ、急にトロッコの制御が効かなくなってしまいました。

あなたの意思とは別に、ただただ線路を突き進むトロッコ。

すると、トロッコの進む線路上に五人の人間が居るのが見えてきました。

困った事に、あなたはその五人に危険を報せる事が出来ません。
このままでは五人を轢き殺してしまう事になります。

しかし、よく見ると、五人が居る場所よりこちら側に分岐器が在りました。

分岐器で進路を変えてやれば、五人を轢かずに済みそうです。

ですが、その別の線路上にも一人の人間が居ました。

進路を変えれば、五人は助かりますが一人を轢き殺してしまいます。

進路を変えなければ、一人は助かりますが五人を轢き殺してしまいます。

あなたは線路上の人間に対し危険を報せる事は出来ませんし
線路上の人間も、あなたの乗ったトロッコに気付く事はありません。

あなたに出来る事は、「進路を変更するか、変更しないか」のみで
確実に五人もしくは一人を轢き殺す結果になります。

尚、この行動の結果に因る「殺人」は法律に問われないものとします。

さあ、あなたの道徳心は、どちらの「殺人」を許せますか?

複数人の為に一人を犠牲にするか。
一人の為に複数人を犠牲にするか。

おっと、一つとても疑問に思われそうな事が在りました。

五人も一人も、性別と年齢は同じと考えて下さい。

男性なら皆男性、二十歳なら皆二十歳という風に、お願い致します。

さて、恐らくではありますが、前者を許す方が多いと思われます。
つまり、複数人の為に一人を犠牲にする選択肢です。

殺してしまうのなら、人数が少ない方が罪悪感もまだ軽くで済みますものね。

後者を選ぶ理由は何になるのかな。

「本来はそのまま進むから」、等でしょうか。

でもね、どちらも「殺人」には変わりないのですよ。

数の問題ではないのです。

一人であろうが五人であろうが、はたまた一万人であろうが。

どちらを選ぼうとも、道徳心をお持ちであるのならば
それはことごとく砕けて無くなってしまいます。

しかし、それは仕方の無い事ですし、憂う事はありません。

誤解を受けない様にお断り申し上げておきますが
「殺人そのものを肯定する」訳ではないのです。

といいながらも、実は「完全に否定する」事も筆者は出来ないのですが・・・・・・。

ともあれ、これは一つの「きっかけ」になると思うのです。

道徳心は日々次々と砕かれていっています。

必要以上に殺されていく生き物や、後先を考えない環境破壊。

保身と利益の優先で行われる商業や政治。

遠くの地で災害等に因り多くの人が亡くなっても
同じ人種でなければ、さらりと流してしまう風潮。

勿論全てが全ての人に当てはまる訳はありませんが、どれも現実であり事実です。

例え道徳心が砕けてしまっても、欠片で構いません、一つ拾っておきましょう。

いびつになったその形で指や掌を切った時は、その痛みを覚えましょう。

経験をしなければ語る事も親身になる事も、ままなりません。

「だから僕は、五人を轢き殺そうと思います」

重ね重ねお断り申し上げますが、あくまで「思考実験の中」で。

今更ですが、これには別のパターンがあります。

線路の上に高架線の様な橋が在り、そこにあなたと太った人間が並んで居ます。

トロッコはあなたと違う人間が運転していますが
線路上には、先程と同じ様に五人の人間が居ます。

分岐器は在りません。

そこで、トロッコが橋をくぐる前に、隣の太った人間を突き落とせば
トロッコは太った人間を轢き殺し、太って重量があるものですから、止まります。

突き落とさなければ、そのままトロッコは走行し続け、五人を轢き殺します。

あなたは軽いので、自ら犠牲になる事は出来ません。
危険を報せる事も同じく出来ません。

一人を殺して五人を助けるか、一人も殺さずに五人を見殺しにするかです。

初めのパターンと比べると、こちらの方がひどく思えますね。

それでもやはり同じです。

論点はそこじゃあないのですから。

と、こんな事をずっと一人で考えていたら
何故だか急に気分が悪くなってきて、心臓の動きがおかしくなりました。

それから二時間近く、ずっと「死んでしまう気持ち」でした。

気を抜いたら心臓が動かなくなりそうだったものですから
多分生まれて初めて「本当に死んでしまう」と思ったのです。

「マジやべぇ」とつぶやきながら、何度も救急車を呼びそうになりましたもの。

とにかく耐え抜いて今は持ち直しましたが
あれは恐らく、「自殺する人の心境」だった様に思います。

いやはや、危険な「ニアミス」でした。

皆様方におかれましては、どうか、どうか深く考え込まれる事のない様にお願い申し上げます。

だったら最初から書くなってね。

はい、ごめんなさい。・゚・(ノ∀`)・゚・。
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by ryu-cat | 2010-04-12 23:16 | 日常雑記 | Comments(0)


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