現実的な響きだねぇ。
響きというか、実際問題、これは現実的な問題である訳なのだけれど。
「結婚しないの?」
この一言は、とても返答に困る。
結婚願望は・・・・・・まあ、無い事もない。
おれだって、一度は──いや、二度は結婚を考えて
それなりに人生計画を立て、頑張ろうとした時期もあった。
出来る事なら、家庭を持ち、子供を育てたいし
「お父さん」として生きてみたい。
両親も喜ぶだろうしさ。
ただ「好きになって良い人」が居ないのだよ。
そういう相手が居なければ、結婚は出来ませんでしょう?
「結婚する事」だけを考えるのであれば
四方八方手を尽くし、なりふり構わず、結婚をする事は可能だと思われる。
そして、そのまま、夫婦生活を営む事も、やってのけるだろう。
でも、それじゃあ、いけない。
おれは、とても忠実な、プログラムの様な生き方は出来るけれど
どうせ生きるのなら、楽しく、後悔を残さない方が良い。
しかし、そうしようとすると、だ。
そうしようとすると──というより、そう生きていると
おれは、全くもって、この世の中に「染み入る事が出来ない」
世の中を、一枚の白い画用紙に例えるなら
皆が、鮮やかな絵の具を使い染めていく中で
おれは、間違って落とされた、真っ黒なインクになる。
それは、とても異常なものだ。
異常で、間違っても、鮮やかとは呼べないものだ。
決定的に、徹底的に。
だから、おいそれと近付けないのだよ。
「混ぜるな危険」という注意書きを貼り付けなければならない程に。
それに、おれは今、人間ではない。
最近気付いたのだけれど、元人間なんだ。
自分の人間的な部分を殺したのは、正に、このおれ。
「内面的な自殺」は、数年前に、見事達成していたのだ。
それから、見苦しくも現在、また憧れて戻ろうとしている。
つまりは、まだまだ子供なんだ。
人を好きになるには、到底早く
人に好かれるには、心底足りぬ。
資格や条件などはドブに捨ててしまえと思うが
ある程度大人になるという事は、やっぱり必要だと思うんだ。
間違いは犯しても、繰り返さない賢さを養う為に。
・・・・・・と、沢山書いたけれど、彼女ぐらいは欲しいものだ。
頑張るけれど、一人では限界がある。
一緒に出掛けて、歩いてごはんを食べたりするだけでも
きっと、それはそれは楽しいものなんだろうなと、こちらも最近気付いた。
思い出した──と、云うべきか。
何年も彼女が居ないと、男は腐るものだね。
こんな体たらくじゃあ、おれの結婚は遅いものになるだろう。
自分の事ながら、子供のお守りは大変です。