心頭滅却。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」。



良く「我慢する」という様なニュアンスで使われるが
実際は、全く違う事をご存知だろうか。

説明が難しいので、例え話をしてみる。

夏の怪談話を想像して欲しい。

日付が変わろうかとしている時刻。

数人が集まった家の中。

エアコンを付けず、部屋の窓を全て開け
たまに流れ込んでくる外気に涼しさを感じながら
一人が、そろりそろりと、話し始める。

その場の雰囲気が、がらっと変わり
汗が流れ、時折肌を伝う感触で、現実感を取り戻す。

さっきまで漂っていた涼しさは去り
それぞれの体温が、部屋の温度を上昇させていく。

暑さで全てが満たされきり
話も恐らく終盤であろうと思われた、丁度その時。

話し始めた人とは違う人が、突然大声を出し、全員を驚かせる。

全身は一斉に不意を衝かれ
心臓が驚いた様に脈を打つ。

気付けば体は汗でびっしょり濡れ
そこに溜まっているはずの暑さは、もう感じなくなっていた。

これが「心頭滅却」。

「そりゃ汗を掻けば、気化熱で体温が下がって、そうなるさ」
というツッコミは、おれの拙い文章力に免じて許して欲しい。

涼しく感じる要素として
勿論、汗に因る気化熱が大半を占めているわけだけど
それよりも「涼しく感じる理由」が在るのに気付いただろうか。

単純に「温度差が少なくなったから」なのよ。

自身の体温と気温の差が大きければ大きいほど
「暑い」や「寒い」と感じ、少なければ、そう感じる事は無い。

つまり「温度が上がった部屋」の中で
怪談話に因る心拍数の増加等で自身の体温が上昇し
その部屋の温度との差が少なくなったから
「暑いと感じなくなった」という事。

後は「全身は一斉に不意を衝かれ」の部分。

「暑さを忘れてしまう程の事があった」から、感じない。

まとめると「差を無くし、気に掛けない」のが、本来の「心頭滅却」。

我慢しているだけじゃあ「火もまた涼し」にならないでしょう?
結局「暑い」という事は変わらない訳だから。

さて、前置きが長くなってしまったけど、ここからが本題。

何故「心頭滅却」の話をしたのか。

それは、先日書いた記事の
「おれが不機嫌」だという事に関係している。

まず、実は本当のところ、全然不機嫌などでは無い。

誰かが居れば、微塵もそんな事は感じさせない。
ああ、本当に怒っている時は違うけどね。

「自分一人の時だけ限定」で「理由も無く怒っている」のだ。

無意味に怒る必要は在るのか?

在る。

それが「心頭滅却」をする為だから。

おれは、意外?に怒り易い。

周りから見れば「怒る事が無さそう」と思われがちだけど
元元、細かい事を気にする性格だから
「言葉の裏」等に、とても反応をする。

昔は、そういう事で気になると
「おまえさ、今のもう一回云ってみろ」と絡んでいて
「喧嘩っ早いし、これは迷惑だ」と思ったから
「無意味に怒る」事で「相手の怒り」を知ろうと思った。

誰かと喧嘩になった場合でも
「何やねん、このクソガキが。
次の一言も反論やったら、速攻で殴り倒したろか」
と思う訳だけど、本当に理性が無くなるまで怒ってみると
「もう誰が止めようと、確実に殴る。
・・・いや、でも、もしかしたら相手もこれぐらい怒ってるんとちゃうか?
それなら、それを理解して、話ができる間は話した方が良いか」となる。

こちらが一方的に我を徹すのではなく
相手と同じ立場や気持ちになる事で
上手く解決できる事が、沢山ある訳なのよ。

相手が怒っているなら、自分も怒って。

相手が冷静になっているなら
怒りたい気持ちを静め、自分も冷静になって。

「自分ばっかり損で不公平だ」等と思わずに
そういう事は、ある程度受け入れてさ。

喧嘩したり殴るのは、それからでも良いだろう。

それからの喧嘩や、殴ったり殴られた痛みは
しっかりと伝わるし、それは「そうなる」事だったのかも知れない。

だから、何時でもそうなれる様に
「限界まで怒り、限界の理性を維持している」。

そして、その時、目付きが悪くなって人を睨んでしまうのよ。

でも、これは本当に荒療治だから
誰も真似しないと思うけど、真似するとしんどい目に遭うよ。

さじ加減間違えると、気が狂いそうになるものw

まあ、ここまでしなくても良いとして
それでも、何かあった時は
自分と相手を「イコール」として考えてみよう。

その結果、納得がいかなければ「行動」すれば良い。

どうしても、差は生じてしまうけど
その差を「伝えられる」のが「人間」だしね。
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by ryu-cat | 2009-05-24 01:05 | 日常雑記 | Comments(2)
Commented by うまのすけ at 2009-06-01 06:34 x
ブラチラした患者さんに自然に目がいった後すぐ目線があった後の冷や汗感が「心頭滅却」ですね

そのご何となく気合いが減る感じがします。
Commented by ryu-cat at 2009-06-03 22:15
気合を全部削られて、生命が減っているんですね。

ブラチラに自然に目がいくとは・・・。

すごいよ山中さん!


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